帝王切開はいまや5人に1人ともいわれるほどポピュラーな手術。
妊娠している女性ならば決して他人事ではありません。誰しも帝王切開になる可能性はあるのです。
でも、いざ自分が帝王切開!となると、手術への不安や金銭手的な心配に動揺してしまうママも多くいます。
今回の記事では、妊娠中のママが出産に向けて安心して過ごすために
- 帝王切開の費用って?
- 自己負担額はどれぐらい?
など 素朴な疑問についてお答えします。また、妊娠中のママに知っておいて欲しい「公的な制度」の基礎知識についても解説しますね。
帝王切開が不安…という方は下の記事を読んでくださいね。帝王切開の傷を残さないための予防と正しいケア、帝王切開とは?縦切り横切りの疑問などについて詳しく書いています。
帝王切開は自然分娩より高い?
自然分娩は病気ではないので、保険適用にはなりません。
一方、帝王切開は保険適用となります。つまり3割負担。
ところが、帝王切開の場合は、自然分娩より入院期間が長くなる傾向があり、病院への支払いが自然分娩の時より高くなってしまうことが多いのです。
では、自然分娩、帝王切開。それぞれの場合で、どれぐらい費用がかかるのでしょうか?
自然分娩による入院費用
自然分娩の場合、入院期間は初産でも長くて1週間程度。経産婦さんの場合は最短で4日なんていうこともあります。
入院日数や病院・産院によって違いはありますが、平均的には「50万円程度」かかります。
個人病院では、もっともっと高額になる病院もあります…
そして、上でも説明したように自然分娩では、健康保険や国民健康保険、民間の医療保険は使えません。基本的には全額自己負担です。
帝王切開による入院費用
帝王切開による入院は、平均的には1週間程度。ただし、ママの体調が回復しない場合は2週間以上入院するケースもあるようです。
ちなみに私は帝王切開だったのに、術後6日目に退院…。ちょっと早くてきつかった~
入院費用は病院や入院日数によって大きく異なりますが
自然分娩と比較すると20万円ほど多くかかる
と思っているといいですね。
あくまで平均的な費用になってしまいますが、自然分娩での費用が平均50万円だとすれば、帝王切開での費用は、平均70万円かかるということです。
ちなみに、帝王切開の手術費用は一般的に40~44万といわれています。手術費用は保険適用になるので、この3割が患者さんの負担となります。
また、3割負担になるのは、手術だけではなく、薬、処置、検査にかかる費用も3割負担となります。
ただし、入院中の食事・個室利用料(ベッド差額代)・病衣など、つまり医療費ではない「保険適用外」の部分が全額自己負担となります。
保険適用外の金額については、高額療養費制度の対象にもならないので、完全に自分が支払わなければならない金額です。
入院日数が増えると、食事代などの自己負担金が日数分かかってしまうので、帝王切開の方が自然分娩より入院費用が増えてしまうのです。
入院費用については↓こちらの記事で。高額療養費制度についても書いています。
帝王切開の自己負担額はいくらなの?
帝王切開は保険適用なのに、70万円もかかるの?!と驚いてしまうかもしれませんが、安心してくださいね。
公的な制度や給付で、自己負担額は数万円で済むこともあります。中には全く自己負担額がないという場合もあります。
では、どのような給付金や制度があるのでしょうか。
出産育児一時金の支給
出産一時金は、自然分娩であっても、帝王切開であっても、子どもひとりにつき42万円が支給されます。
ただし、「産科医療補償制度(※1)」に加入していない医療機関で出産した場合、支給額は40万4000円になります。
これは本当にありがたい制度ですよね。
また、出産育児一時金には「直接支払制度」というものがあって、医療機関が被保険者等に代わって、直接「出産育児一時金」を受け取る制度があります。
これは、医療機関等が被保険者等に代わって出産育児一時金の申請を行い、直接、出産育児一時金の支給を受けることができる制度です。
せっかくの出産育児一時金。ママはもらった気がしませんが…。でも、病院側が面倒な申請などを全てしてくれるので助かりますね♪
この制度を利用すれば、仮に70万円の費用がかかったとしても
70万円-「出産育児一時金40万円」 =30万円
自己負担額はおよそ30万ですみますよね。
高度療養費の制度・限度額適用認定証の利用
自己負担額30万円でもまだ高い!というママもご安心くださいね。
実は帝王切開の場合は、高額療養費という制度を利用することができるのです。
高額療養費の制度とは、医療費の家計負担が重くならないよう、病院の窓口で支払う医療費が1か月(1日から末日まで)で上限額を超えた場合、その超えた額を支給してくれる制度のこと。
上限額は、年齢や所得に応じて異なります。
所得区分 | 自己負担限度額 |
低所得者(住民禅非課税世帯) | 35,400円 |
標準報酬月額26万円以下 (年収約370万円以下) | 57,600円 |
標準報酬月額28万~50万円 (年収約370~770万円) | 110,763円 |
標準報酬月額53万~79万円 (年収約770~1160万円) | 195,153円 |
標準報酬月額83万円以上 (年収約1160万円以上) | 277,513円 |
詳しくはこちら
そのため、驚くような高額を支払わなければならない、ということにはなりません。
また、この制度を利用するには、「限度額適用認定証」というものの申請が必要です。
自分の持っている保険証の種類によって申請する場所が違います。健保組合・協会けんぽ・お住まいの市区町村役場などに申請しましょう。
高額療養制度・限度額適用認定証についても、こちらの記事で詳しく書いています。↓
税金の還付(医療費控除の対象)
確定申告では前年の出産費用にかかった額も医療費控除の対象となる場合があります。
「自己負担」の金額がわかるような領収書や健康保険の明細書は必ずとっておきましょう。
※自己負担した金額とは、出産育児一時金、出産手当金、高額療養費などの公的手当、医療保険(加入している人であれば給付金も差し引いた金額となります。
実際に自分が医療機関に払った金額ですね。
また、出産のために使った交通費(電車・バス代・タクシーなど)、入院費用、妊婦健診の自己負担分なども医療費控除の対象となります。
明細書は必ず置いておきましょうね。また、自分だけではなく家族の分も合算されるので、置いておくことをおすすめします。
民間の医療保険も適用、帝王切開で黒字?!
帝王切開の場合は、基本的には入院や手術の給付金の支給対象です。対象になった場合は、多くの方が入院費以上の給付金が支給されるようです♪
ただし、適用にならない(給付金の支給対象とならない)場合もあります。
たとえば、妊娠後に保険に加入した場合は支給されない場合があります。
また、過去に子宮の病気の診断を受けた、帝王切開の経験がすでにあるママが保険に加入した、などの場合は一定期間支給の対象にならない場合があります。
詳しくは、ご自分の加入条件をみてくださいね。
ちなみに私は切迫早産での入院が長かったため、結果的にはかなりの黒字となりました♪
帝王切開費用まとめ
帝王切開は高い!そう思っていたママも少し安心できましたでしょうか?
- 3割負担
- 出産育児一時金の給付
- 高額療養制度の利用
- 税の還付
これらのおかげで、かなり自己負担は少なくてすみます。
民間の医療保険に加入している場合は、給付金の支給があるので心配はいりませんよね。
また、民間の医療保険に入っていなくて自己負担が大きかったとしても、領収証や明細書を置いておけば税の還付が受けられる可能性もあります。
少子高齢化のこの時代。金銭的には赤ちゃんを産みやすい社会の体制が整っているといえます。
帝王切開の費用が心配…というママも、安心して出産してくださいね。
ひまわり
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