早産の原因はいろいろありますが、中でも細菌による感染、絨毛膜羊膜炎(じゅうもうまくようまくえん)が、早産の大きな原因の一つとなっています。

早産の原因:感染症
感染が原因による早産は、以下のような経過で早産になります。
- 膣の自浄作用の低下
- 細菌性膣症
- 絨毛膜羊膜炎
- 早産
1.膣の自浄作用の低下
膣の中には常在菌といわれる細菌が存在しますが、この菌は悪い菌ではなく、異常細菌の増殖を防いでくれる良い菌です。常在菌が膣の中を酸性に保つことで、悪い菌から守ってくれるのです。
このように、もともと体の中にある菌が、自力で悪い菌を消し去ってくれる作用を自浄作用(じじょうさよう)といいます。
しかし、精液の混入や血液、免疫力の低下などにより、自浄作用が低下してしまうことがあります。
膣の自浄作用が低下すれば もちろん、良い環境を保つことができなくなり、膣の中は悪い細菌が増殖しやすくなってしまいます。
2. 細菌性膣症
膣の自浄作用が低下して悪い菌が増殖してしまうと細菌性腟症になります。
おりものの異常(灰色や白色で生臭い匂いのあるサラサラしたおりもの)などの症状があらわれることもありますが、大半が無症状です。
また、妊婦さんは妊娠していない女性よりも免疫力が低下しやすい状態にあり、妊娠している女性の10%から30%が細菌性膣症になるといわれています。
細菌性膣炎は自然治癒することもありますが、絨毛膜羊膜炎予防のために治療が必要になります。
3.絨毛膜羊膜炎
悪い菌が膣だけでなく、頸管から卵膜(赤ちゃんや羊水を包む膜)にまで達してしまうと、絨毛膜羊膜炎になります。
絨毛膜羊膜炎になると、子宮口が柔らかくなり、子宮が収縮してしまったり、子宮の出口が広がってしまうことがあります。卵膜が破れ、破水してしまうリスクも高まります。
そのため、妊娠中に絨毛膜羊膜炎になると、早産のリスクが高くなってしまうのです。
また、羊水や胎盤を通して赤ちゃんにまで感染が及んでしまうと、 常位胎盤早期剥離の原因にもなることもあります。
常位胎盤早期剥離とは、分娩の前に胎盤がはがれてしまうことで、最悪の場合、お腹の赤ちゃんが亡くなってしまったり、ママが亡くなってしまうこともあります。
絨毛膜羊膜炎の予防
妊娠中は規則正しい生活習慣を心がけ、免疫力が低下しないようにすることが大切です。
また、細菌性腟症になったママは、早産や低出生体重児出産となるリスクが高まります。
そのため、細菌性膣症の段階で治療することが大切です。
定期健診を必ず受けることはもちろん、少しでも異常を感じたらすぐに受診することが予防につながります。
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